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巷房 2010 − 使用材料

基底物 : 発泡樹脂板 3ミリ厚 12×12㎝ 
メディウム : 合成樹脂膠 (アートレジン)
日本画用絵の具 (天然岩絵の具、新岩絵の具、合成岩絵の具、金泥、銀泥、白金泥、胡粉、墨、キラ など)
水、空気、微量の塵・埃、犬毛 など

岩絵の具・・・

日本画で用いられる主要な絵の具。
天然の岩・石(鉱物)または人工的に作られたガラス質の石を粉砕して作られる。
粒子の大きさの違いにより、ざらざらの砂状のものから、微粒子で粉状のものにまで10数段階に分けられる。
粗いものほど原石の色に近い濃い色合い、細かくなるほど淡く白っぽい色合いになります。
伝統的な色名(群青、緑青、辰砂、代赭、黄土、金茶)以外にも、色合いによって様々な色名がつけられる。
同じ色名でも、原石の色の違い、不純物を除去する精製段階、粗さ細かさの分類の職人のさじ加減、などによって、色合いは微妙に(かなり)異なります。
父新山晃司の昭和10年代から亡くなる平成10年代までの約70年の制作期間に使用して、残された岩絵の具の色数が1300色以上ありました。

大量の水・・・

岩絵の具は、膠「にかわ」(接着剤)と絵の具皿の中で混ぜあわせ、少量水を加えて、画面に塗れるような状態になります。
塗り終わったら、絵の具皿に残った絵の具の膠分を取り去るために、その皿に水をいっぱいに注ぎ、絵の具が沈殿したら膠分の溶け出した水を捨てる。
その作業を3〜4回繰り返し、膠分を十分取り除き、乾燥させて元の砂・粉の状態に戻すことで、また使用できるようになります。
膠は、いわゆるゼリーのようなもので、放って置けばすぐにカビが生えて使えなくなります。大量に作り置きできません。
ですから、少しずつ塗る分の絵の具を作り、塗り終われば膠分を取り除く、この作業の繰り返しになります。
少量の岩絵の具でも、1色塗り終える工程で、100〜200mlの水が必要ということになります。
1色150mlとして、1000色で1500リットル、2色塗り重ねると、3000リットル=約3トン!もの水を使うことになります。

 

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