2000年 - ギャラリー山口

(京橋)

・・・ゴミにしようと思っていた梱包材の発泡スチロールのかたまりから、一粒一粒(1泡1泡)を取り出し、それぞれに赤・青・黄色のいずれかを着色し、極細の釣り糸で天井から吊るしました。 その数、およそ600粒(泡)。 中心部に空間を設け、見る者の周りをぐるっと360度取り囲んで存在している状態を鑑賞できるようにしました。  ほとんど閉鎖され、四方を壁で囲まれた地下室に、静かに揺らいでいる多数の極小の物体。 それらは、たとえば1階のドアの開け閉め、人の動きにさえも僅かに反応し、もちろん鑑賞者の移動・息づかいにも反応して、揺らめく。  大量生産され通常は消費され廃棄されるだけだった物体が、全ての物質の根源となっている「光」の三原色に彩られ、互いの干渉作用により「光」を生み出すようになる。 この地下の小さな空間が「光」で満ち溢れ、ひとつの宇宙・時空・場・相となる。 この空間が、実際の広大無辺な宇宙そのものと同質の、全ての存在を内包するものとなる。 宇宙がこの狭小空間とイコールということだ。  あらゆる物質が光(素粒子)でできているということは、この地下室よりもさらに小さな空間・物質にも、同様に広大な宇宙が内包されているという訳だ。 自宅の居間や寝室、オフィスビルの室内、通勤の電車でも。 一人ひとりの人体、脳、一つ一つの細胞でも。 また、全ての物質それぞれ、分子・原子・素粒子それ以下の極小単位でも。  もちろん、目の前にあるこれら三原色の一粒一粒でも同様、それぞれに広大な宇宙が内包されている。 極大なものは極小なものとも同質・イコールであるといえる。 極小なものの中に極大のものも含まれることにもなる。 この世界は、極めて複雑な入れ子状態を形成しているのだ。 全てのものは、大小にかかわりなく、それぞれに等しく無限の宇宙を含んでいる。  考えているとめまいを起こしそうなくらい。  また、今、現に考えているところのこのひとつの脳にしても、無数の・無限の宇宙が内包されている。 今この時点に存在しているもの全てのみならず、たぶん無限の過去や未来の無数の宇宙により、ひとつの脳・個人が形成されているのであろう。 その意味で、全ての人間は、表面的には違って見えてもそれは取るに足らない些細なことで、それぞれ「全て」を含んでいる同じ存在であることがわかる。  さらに、他の様々な生物や無機物までもがそれぞれ同じ存在であり、それら全てを含んだこの全体世界もそれぞれの物と同じ存在だ・・・・・・・・・・・・・・・

     

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